目の下が、ぴくぴく痙攣することから始まる片側顔面痙攣(眼瞼痙攣も)とそれを抑える治療のこと。(2015/5/13)

ほとんど誰にも話したことは無いのですが、僕は片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)というものを患っております。そろそろ人様のためになることも書いてみようかなと思い立ち、悩んでいる方がいれば多少役に立つのではないかと思っております。

かっこいい話ではないのですが、そんなに恥ずかしがることでもなく、ただ、ちょっと見てくれが悪かったりする程度なのですが、やはり他人にどう思われるか気に病む方が多いのもこの病気の特徴です。

また、眼瞼痙攣も、原因は違うものの、同じ治療が効果的なので、該当する方は続けてお読みください。

まずは、重要なことだけ、さくさくさくっと書いてしまいますね。

(2015/5/23追記)日本神経眼科学会に、神経学科相談員制度ができました。こちらからお近くの相談員医師が探せます。
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症状と治療とボトックス注射が受けられる眼科医院

こんな症状の人が該当します

お勧めの治療法はボトックス注射

あとで詳しく書きますが、一番にお勧めするのがボトックス注射です。これは、目の周り、口元、ほほにボトックス液をちょっとづつ打ち込んでいくものです。何が良いかと言うと、短時間で済む、かつ、副作用が少ない、ことです。

ボトックス治療のできるお勧めの病院

東京だったら、

仙台だったら、

がお勧めとなります。いずれも、僕自身がお世話になったことがある病院です。なお、井上眼科グループの西葛西・井上眼科病院でもボトックス注射が受けられるようです。

※なぜ4つもの病院で処置していただくことになったかというと、単純に仕事の関係です。一つでは満足できずに次々に移り歩いたとかそういうものではありません。

それでは詳しくご説明しましょう

僕の場合..

ある時、急に、左の目の下あたりが、ぴくぴくとし始めたのです。

最初は、マッサージしたり、指で抑えてみたり、氷を乗せて冷やしてみたり、と、そんなことを試してみました。ですが、多少の効果があったようにも見えつつも、結局またぶり返してしまいます。

そのうち、症状は悪化してしまい、しょっちゅう、ぴくぴくと痙攣して、かつ、片側の顔面全体に広がってしまいました。そのため、人と目を合わせるのが苦痛になってきました。

これが、この病気の非常に困った点です。これについては、また後述します。

あまりにもどうにもならないので、その頃、ようやく広まり始めたインターネットで、これが何なのかを探し始めました。どうも、顔面痙攣らしいことと、治療法として、神経をブロックする方法、頭に穴を開けて血管を取り除く(あるいは間に何かを入れてずらす)手術をする方法があることがわかりました。

ですが、神経ブロックは首の辺りから深く挿す上、何時間もかかるらしく(ここの情報は当時読んだ文章のうろ覚えです)、どうしても気が進みません。頭の手術の方は、全身麻酔で行うような大層なもので、かつ、開頭することもあって(頭蓋骨に穴を開けるんですよ!!)、痛みや聴覚障害が残る場合もあるということでした(今は、割合的には少なく、障害が起きるのは数パーセントだそうですが、それでも厳しいですね。それに、直らなかったり再発するケースも10~20%あるそうです)。ただ、根治させようとすれば、この手術しかありません。

そんな時に、たまたま見つけたのが井上眼科クリニックです。職場から近かったこともあり、また、評判の高い眼科らしいとも聞いていたので、電話で予約を取り受診しました。

MRI検査なども経て、顔面痙攣であると診断され、ボトックス注射をすることになりました。

左の目の周り、耳から顎のライン、口元の左側に、次々にさっさと注射が打たれます。実際、最初は怖かったし、注射の痛みは今もあまり慣れていません。

ただ、時間は短いので、負担は少ないですし、リラックスするように心がけておけば、必要以上の痛みや恐怖は感じなくなります。ただ、為されるがまま、です。

この注射により、顔面神経が麻痺する形となります。何か、顔の奥では引っ張られてる感触はあるものの、表面は落ち着いたように見えます。この状態は数ヶ月保ちますが、だんだん痙攣が活発になってきて、また注射が必要となります。

それでも、痙攣が収まったことには、とてもほっとしました。

(顔面痙攣)発症しやすい方

何か、習慣的なことや、遺伝など、食べ物飲み物、といったことは関係ないらしく、ただ、傾向としてこのようになっています。

まず、発症する方の平均年齢は50~55歳程度、とのことです。30歳以下ではほとんどないそうです。

そして、発症する女性は、男性の2~3倍となり、女性に多いようです。

でも、僕の場合、男性であり、さらに発症時点では30代前半でしたから、発症した本人にとっては、自分が罹れば100%ですよね。

(顔面痙攣)原因

顔面神経(顔の表情筋へ指令を伝える運動神経で脳幹部から出て、顔の筋肉へ入ります)が 脳深部に存在する動脈(小脳の動脈や椎骨動脈)に圧迫されることが原因ということです。

要するに、心臓からどくどくと送り込まれた血液が、血管をがびくびくしながら流れると、そこに接してしまっている顔面神経を刺激し、勝手に顔面がぴくぴくしてしまう、というものです。

大抵の場合、片側の顔面神経が脳血管により圧迫されて生じるので、両側が痙攣することはありません。

眼瞼痙攣の場合は両側がありえます。また、脳の腫瘍が神経を圧迫することによって片側顔面痙攣を起こすこともあります。MRIの検査はこのために行ったのでした。

眼瞼痙攣は「まばたきの制御異常」だったり、「開閉瞼の切り替え故障」と捉えると分かりやすいようです。まばたきや、まぶたの開閉をしているのは脳の神経回路なのです。症状は目のあたりに出ますが、故障部位は脳ということになります。

ボトックスとは

ボトックスとは、ボツリヌス菌から作られた薬剤です。ボツリヌス菌が作り出すボツリヌス毒素はとても危険なものですが、ボトックスは医薬品として作られたものですし、きちんと認定を受けた医師が処方するので、心配は要りません。

副作用も少ないです。あくまでも、筋肉の働きを弱めるものです。これで、痙攣が収まるわけです。

小顔にしたいとか眉間のしわを取りたいといった美容目的で利用する方も多いようですね。そちらは、保険が利きませんが、痙攣に対する処方では保険適用されます。

ただ、一つだけ言っておくべきことがあります。筋肉が弱まるというのは、動かしたくても動かなくなるということでもあります。だから、笑った顔が、半分はしわしわなのに、半分はのっぺらとしています。そこだけは、ご理解のほどよろしくお願いします。

とても困ることってなんでしょう

罹っているかもしれない方はよくご存知でしょうけど、例えば患者さんの周りの方は、あまり気にするなとかそういう感覚かもしれません。でも、実際は、とっても大変なんです。ほうっておいても命に別状はないなんて言われたりもしますが、実は大変です。

隠したくなる

まず、ぴくぴくすることで、人と目を合わせにくくなります。どうしても、隠したくなるんですよ。目を合わせなくてもばれるんですけど、でも、少しでも隠そうとしてしまいます。

それが昂じると、人と話すのが苦痛になったり、会うことを避けたりするようになってきます。

それがさらには、欝のような精神的な病に発展する場合もあるようです。

痙攣が邪魔で鬱陶しい

先のような不安感を持つことのない人であっても、ただ痙攣していることについて、邪魔に思うことにはなります。僕の場合、就寝中でもぴくぴくしていたりします。だからなんとなく眠りが浅い気がしています。

それに、部分的に引っ張られることで、なんとなくですが身体のバランスが悪くなっているような気もします。肩や首も凝るんですよ。

それだけでも、注射で抑えておく理由になります。

それに、本を読んでいるときなども、やはり、かなり邪魔に感じます。ひどいときは、片目を閉じて読書を続けたり。。TVを見るのも同じで、積極的に目を使う場面では、とても不自由です。

現実的な危険性

そして、次のことが、とても怖いんです。それは、車の運転です。

僕も経験があるのですが、ある時、やや深いカーブを曲がろうとしていたら、ピクピクしていたところから、急に左目が閉じちゃったんですよね。

遠近感がわからなくなりました。

うおっ!!と声には出しませんでしたが、心の中で叫びました。

遠近感だけではなく、視野も両目から片目になることで、狭くなってしまいますし、その数秒だけでしたが、とても焦ったものでした。

以上のように、ほうっておけばいい、などという簡単なものではなく、できるだけ、抑えるべき病気なのです。

まとめ

気になっている方は、まず診察を受けるべきです。先述した病院について補足すると、東京の井上眼科クリニック、仙台の平成眼科病院はきっちり系で、注射を受けられる曜日が決まっています。平成眼科では土曜日の朝だけですので、仕事の関係で無理という方もいらっしゃるでしょう。

であれば、東京では清澤眼科医院、仙台ではシオノ眼科医院なら割にフレキシブルに対応してもらえます。

さて、東京、仙台、そしてその近郊の方はいいんですが、他の地域の方はどうしたらいいでしょう。

実は、「眼瞼けいれん」「片側顔面けいれん」の診察や治療を行っている専門医のいる病医院をご案内しているサイトがあります。ボトックスを作っている製剤メーカーが運営しています。ただ、腕の確かさはよくわかりません。ですが、医師を探すための手助けになりますので、ご紹介します。

眼瞼けいれん・片側顔面けいれん 病医院検索

Q&A(2015/5/31追記)

本文内で紹介している清澤眼科さんにて、顔面痙攣けいれんにかんする質問と回答集が出ています。お悩みをお持ちのみなさんは、これらの質問と回答をご覧になり、治療と対処のご参考にしてください。

2015年の最新版。
2015年05月25日 6595:第12回例会への参加者からあらかじめ提出された質問集Q&A
2015年05月26日 6598 質問と答え 続き
2015年05月30日 6616:眼瞼痙攣友の会の質問とお答え その第3部です

過去のものもあります。
2014年03月01日 5212 眼瞼・片側顔面けいれん友の会における「質問と答」集です
2013年03月15日 4166 第10回「眼瞼・顔面けいれん友の会」例会 質問リスト
2011年03月07日 2096眼瞼痙攣友の会での質問と答え(31問答)です。
2010年03月10日 1326 眼瞼けいれん・片側顔面痙攣友の会で提出された質問に答えしましょう。
2008年09月15日 669 第5回眼瞼点顔面痙攣友の会例会、当日に医師に聞きたい質問のリストと清澤の回答
2007年06月08日 358 眼瞼けいれんに関する質問と答え;第4回友の会用質問の答、清澤暫定版
2006年07月11日 121, 眼瞼けいれんに関する質問とお答え

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

以上

May 13, 2015
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