宮城県高校女子サッカーの紹介と課題と改善と。(2015/5/27)

2015年総体直前の宮城県の高校女子サッカーの現状

5強とその他

宮城県の高校女子サッカー界においては、強豪校が5つあり、残りは、それらからは大きな差を付けられているという状況にある。それが形作られてきた歴史には、聖和、常盤木の2強時代があり、東北が台頭し、明成が本格化し、さらにスポーツ界では超メジャーな仙台育英が本気になった、というものがあるが、それ以前にも、聖和、宮城広瀬、石巻女子商が全日本選手権本大会(現在の皇后杯)に進出を果たしている。

※宮城広瀬は、宮城広瀬高クラブとしての参加らしく、現役高校生だけのチームではなかったのかもしれない。全日本女子選手権出場チーム(第6回~第10回)

その5強においても、常盤木が大きく抜け出しているのだが、その理由の一つにチャレンジリーグへの参戦が挙げられる。なでしこリーグ1部、なでしこリーグ2部に続く、日本女子サッカーで上から3番目にあるリーグである。そして、高校チームとしては常盤木が唯一の存在となっている。同年代ということではJFAアカデミー福島があるが、こちらはJFA管轄のクラブチームであるから、全く違ったものだ。

5強以外でも、やはり格差が存在している。抜けているのは、宮城第一。次に、宮城広瀬、聖ウルスラ、といったあたりだろう。気仙沼西・桜坂も強化されてきているが、こちらは合同チームであるので、評価は難しい。

まとめると、こんな序列が成り立つ。
常盤木 【頭一つか二つか三つぐらい抜けている】
聖和 / 東北 / 明成 / 仙台育英 【なかなかトップに立てない。この中の序列は時々変わる。】
宮城第一 【公立の雄】
宮城広瀬 / 聖ウルスラ / 古川黎明 / (気仙沼西・桜坂) 【なかなか期待のできる状態、宮一に追いつけ】
登米 / 松山 / 尚絅 【なにより部員数が厳しい、まずはそこから】

この中で、登米が2015年度高校総体不参加であり、昨年の新人戦には出場していただけに今後が心配される。通常なら、新人戦に参加していれば、春の新入生の入部により部員が増えるため、総体の出場も適うはずだ。

また、桜坂は市立石巻女子商が市立石巻女子高と合併した県内公立校では唯一つの女子高であり、サッカー部が存続したことに安堵しているが、今後どうなるかはわからない。また、気仙沼西との合同チームとしての参加であり、両校が単独で参加できるようになれば、また別の問題も起きてくるかもしれない。

気仙沼と石巻は、いずれも東日本大震災で大きな被害を受けた地域であって、さらに石巻女子商は、直接津波に晒され校舎が破壊されたために、合併先となった市立石巻女子の敷地内の仮設校舎で過ごしていた。その2校の合同チームとなれば、期待も大きくなってしまうが現実的には距離があるため、一緒に練習する機会はほとんど持てないだろう。

これは、2014年度の選手権予選のスコア例なのだが、5強とそれ以外について考えさせられるものである。

(1回戦)東北 27-0 古川黎明
(2回戦)常盤木 25-0 宮城広瀬
(2回戦)仙台育英 19-0 宮城第一
(2回戦)聖和 24-0 気仙沼西・石巻女子商

負けた4チームは、どれも強豪以外ではそこそこのチームなのだ。それでいてこの差がつくのだから、さらに実力の低いチームであれば、もっととんでもないスコアになることもある。4番目の気仙沼西・石巻女子商は1回戦で11ゴールをあげて松山を圧倒して臨んだ2回戦だったのにである。

要するに、差が大き過ぎる、のである。

このような1時間のうちに、20点30点も取られる試合をして、何かいいことがあるだろうか。強いチームにとっても弱いチームにとっても何ら得るものの無いゲームである。こう断言すると、いやそんなことはない、どんなに失点を重ねても懸命に頑張っていたし、それは素晴らしいことだ、などと反論されたりするわけですけど、なんじゃそれ。

もっと、勝つか負けるかのぎりぎりの戦いをした方が、この先役に立つし、面白くて興奮するし、いい思い出になるし、断然、そっちの方がいいに決まってるじゃん。

これには、指導の問題と、大会運営の問題があるのだから、改善すればいいだけのことだ。改善もせずに、よく走って、よく頑張った、良かった良かった、で終わらされては、女子サッカーが衰退していくだけだ。澤穂希の頑張りをなんだと思ってるのか。

他のスポーツを押しのけてまで発展する必要は無いけど、ボールを蹴りたい、うまくなりたいと思った子が愉しく上達していける環境を作るべき時期はすでに来ている。時は来たれりなのだ。

では、この章の最後にサイトを持っているチームを挙げておく。
常盤木(チャレンジリーグサイト内)

聖和
東北
明成

チーム紹介

そんなこんなで、ここからはなんと、全チームしょーかーい!!ですが、基本的に外から見ているだけで、内情は全く知らないので、その点はご容赦ください。順番は思い入れの強さが反映しますけども、その点もまたご了承ください。クレーム寄越しても返事しないからね。

う~ん、どうしよっかな。なかなか無謀な試みだし。じゃ、まずはー。

聖和

パスをつなぐ、が基本。細かくつなぐ、ディフェンスラインからでもつなぐ、止められてもやり直す。スルーで撹乱する、3人目4人目が関わってくる。と、でも、ほんとにそれができてるかというとそうでもない。相手にもよるし。

個人技術はとても高い。サッカーはそれだけじゃないのはわかるが、やはり技術は大切。他とは違うサッカーをしている、というのが観戦のポイントです。以前はあえて緩いショートパスをよく使っていて、それが奪えそうで奪えない、というのが見ている側は面白かった。

ゴール前で一つ二つ余計なパスを入れてゴールが奪えなかったりもするので、そこにフラストレーションを感じる人もちょくちょくいる。

最近は、長いパス、強いパス、ドリブル、速めの攻撃、なども見せていて、それはそれで悪くないと思う。2015年1月の全国選手権で久々のベスト8達成。

しばらく活動してなかったサンバ隊も復活してて応援も愉しい。


宮城第一

公立の雄。でも、強豪ではない。男子の場合、公立であっても指導者と選手がうまく噛み合って強豪校になるケースはあるけど、女子ではなかなか難しい。少なくとも、監督さんはサッカーの人ではない、と思われる。

でも、なぜか、ここはそこそこ強く、部員も多いし、マネージャーも多い。中には技術のある選手もいれば、走れる選手もいる。

そうなっている理由についてはまったくわかりません。

だから、全くの想像ですけど、ここは宮城のナンバースクールの一つで、男女別学だった頃は女子高で県内トップだった。

いまでも、その頃の学業優秀さを引き継いでいるものと思うんだけど、そういう優秀でかつサッカーをやりたい、となれば、ここだろうっていうことになってるのかな、と思う。強豪私立の特進クラスという選択もあるだろうけど、強豪へ行く以上、学業よりサッカーだろうから、そこまでじゃないなという場合の選択肢はここだけだ。

かつ、共学化した今も女子数のほうが多いため、母数が大きいから女子のサッカー部が存在しやすいし、興味も惹きやすい。ちなみに男子サッカー部はこの高校には存在しない。

それに、学業優秀なだけに、サッカーについても自らの頭で理詰めで考えているのかもしれない。という見方がある。

弱点もあるものの、ところどころに光るものがあり、もしかしたら、と思わせてくれるチームなのだ。


桜坂(旧石巻女子商)

古くは全国大会出場も果たしている古豪。近年は部員不足もあり、その前に生徒不足もあり(少子化が進んでいる中で、なにしろ市立の商業科のみの女子高だった)、とどめに東日本大震災で校舎が破壊されるという苦難を負っている。

もう一つの市立高校である石巻市立女子高と統合され、桜坂高校となった。

部員不足が厳しく、統合後にその点が解消されつつあるのかどうかが興味深い。石巻地区唯一の高校女子サッカーチームとして、存続していくことを期待しています。

気仙沼西との合同チームになってからは、いい指導者に恵まれ、前向きにやれてるのではないかと思うので、地元民の応援が欲しいところ。


東北

聖和、常盤木の2強時代に終止符を打ったチーム。とはいっても、2強を覆したのではなく、3強時代にした、ということ。

指導が一貫しており、プレーぶりはシンプル。走る、実直に守る、カバーしあう。シンプルなだけに観戦していて清々しい。変なフェイントや動きで、うまいこと相手をだまくらかしてゴールを奪ってやろうという、こすい意識が感じられない(それがいいことかどうかは別問題だけどね)。

どんなに、弱い格下相手でも、「立ち上がりをしっかりな!!」と声がかかるのもぶれなくて良い(いやいやここだったら、気を抜いてても問題ないでしょーと見てる側は思ったりする)。

なぜかプレーヤーの人気が薄く、部員数確保に難がある。その分、気が合うかどうかなど無関係に、一緒にプレーし、遠征などでも全員で協力し合うことにならざるを得ないため、チームとしての熟成度が高いと思う。

そのためかどうかはわからないが、厳しいゲームと予想されていても、あっけなく勝ったりすることがあるところも面白い。


宮城広瀬

宮城広瀬クラブとして全国大会出場の実績がある。10年ぐらい前には、スポーツ特待生制度があって、クラブチームでプレーしていた選手が進学することも多く、レギュラー選手の半数ぐらいが経験者だったこともある。その頃は、県内ベスト3の座を争っていて、東北大会に出られるかどうかのせめぎ合いに参戦していた。

近年は特待生制度もなくなったようで、クラブチーム出身者も減っている。一時期は、部員不足に泣かされていたが、どうにか復調してきた。個人的な考えとしては当時の監督さんが、試合中怒鳴り続けるタイプだったので、それにより人気が無くなったのではないかと推察している。

それでいて、今も、そこそこの実力を保っているのは、チームの歴史というものだろうか。

全体的にこじんまりとしており、パスのつなぎはできても、後ろからドンと長いボールを蹴るとか、それに反応して長い距離を突っ走ってシュートを放つといった、ダイナミックさに欠ける。というか、強豪以外ではそんなことができるチームは存在しないのだが..。

練習次第では、もっといいゲームができるようになると思うチームの一つなので、毎年、期待はしているし、みんなで頑張ろうとう意識が根付いているので、応援のしがいもありますね。


古川黎明

大崎地区にある2校のうちの1つ。

パスサッカーを志向していて、対等なレベルかそれ以下の相手には、綺麗にパスをつなぐ。が、格上に対して、自分たちのプレーが通用しなくなった時に、厳しい展開になりやすい。良くも悪くも貫こうとするため、大きく蹴って凌ごうといった相手に合わせてプレーを変えることをしない(しないのかできないのかはわからない)。

自分たちのプレーができているときは、きれいで愉しいサッカーができているので、そこは見ていて面白い。格上相手にどう対処するのかは、少し考えるべきか。

ここは、共学化の前、古川地区のトップ女子高だったので、女子数が多いし、中高一貫校なので、中学年代からの強化もありうる。宮城第一に並ぶだけの素養はあるはず。


明成

東北を加えた3強時代を終焉させ4強時代に突入させた。

強化を始めて数年で全国大会進出を果たしたのは立派。

現在は、人工芝のグラウンドを持ち、部員数も安定しているため、恵まれた状況にある(グラウンドをどの程度利用できているのかはわからないが)。その一方、部員不足に泣かされている東北に敗戦したりで、なかなか結果がついてこない印象がある。

当初は、パスサッカーを志していたように見えるが、現在では、速いサッカーにシフトしているように見え、聖和風から常盤木風になったと筆者は理解しているが、そうでもないのかもしれない。常盤木、仙台育英あたりには互角か互角に近い戦いを見せるのに、なぜか東北は苦手に思えるのだが、勝手な感想ということで。


聖ウルスラ

しばらく前までは部員減少が甚だしく、合同チームで大会に参加することもあった。

それが、いまや、部員数については何の心配も要らないほどに復調。宮城広瀬にあと一歩まで迫る戦いぶりを見せ、現在、最も注目すべきチームといって過言ではない。

なぜ、こんなことになったのかは不明。指導の質はよい。また、試合前後の様子を見ると、いでたちがファッショナブルで、フットサル系のユニなどを着用していて、おしゃれできらびやかな印象。見た目から入ってるのかもしれないが、これも大切なことです。2015年も要注目である。


尚絅

10年ほど前は、宮城広瀬とともに、宮城第3位の位置を争っていた。

だが、強化を始めた各私立高に追随せず、独自の立場を維持。結果的にサッカー経験者が強豪に流れてしまっている感がある。部員も不足気味で、難しい状況にある。

ただ、聖ウルスラが、脅威の部員増を成し遂げていることからも、考え方やり方次第では大きく伸びる可能性を秘めているものと思える。

中高一貫校でもあり、以前は中学生のサッカー部員もいたと記憶しているが、現在は違っているのか中学のサイトにはサッカー部の存在が記載されていない。このあたりも鍵になるかも。


気仙沼西

以前は、部員数はそこそこで、数人の経験者を要し、小気味良いプレーを見せていた。そこそこの実力を持っていたと思う。組み合わせ次第では2回戦を突破するぐらいはやれていた。

だんだん力は落ちていたのかもしれないが、震災で大打撃(高台にあるので校舎は直接の被害は受けていないと思うが、いろいろあっただろうことは想像に難くない)。

震災以降は、合同チームでの出場も増え、単独で出た時も、目立った成績は見せていない。

一方、去年からの石巻女子商(現桜坂)との合同チームでは、いい指導者が就いたこともあって、随所にいいプレーを見せており、技術面でも戦術面でも2015年の期待は大きい。


登米

大崎市の東隣に位置する登米市の高校。2015年高校総体は不参加。商業科が、2015年4月に開校した登米総合産業高等学校に統合された。つまり商業科がなくなったことで、部員が減ったのかもしれない。もしそれが正しいのならとんでもないことをしてくれたものです。

地味な印象だが、この数年は指導の質が良くなったように見えていたこともあり、不参加は残念だし、今後も懸念される。新人戦は部員不足で出られなくても高校総体は新入生の加入により出られる可能性が高くなるのが普通なのだけど。

部の存続が課題になるというのは、かなり厳しい状況といえる。


仙台育英

人工芝グラウンドを持つ(グラウンドをどの程度利用できているのかはわからない)。

屈指の強豪の男子サッカー部顔負けの、男子サッカー部のようなプレーをしている。

女子だけにやや無理をしているようにも見えるが、嵌るととんでもない強さを見せ、大きなクロスにヘディングシュートを決めるシーンなど、ダイナミックそのもの。

それでも本気の常盤木を打ち負かすまでには至っていない。2015年高校総体では2年連続となる、聖和を差し置いてのスーパーシードを占める。


常盤木

いわずと知れたスーパー高校生チーム。日本女子リーグの3部に当たるチャレンジリーグに所属。経験値が普通の高校生を凌駕していて、厳しい展開になっても、最後まで勝ちを信じ狙っているように見える。

2014年、聖和は選手権県予選決勝で先制し、終了間際までそのまま粘ったものの、最後に2ゴールを許し逆転負けを喫した。このカードはさらに、東北予選決勝では、8 - 2と、常盤木が大勝。さらに、本大会準決勝では、9 - 1と、やはり常盤木が大勝。

現状、東北地方には敵なしの状態。聖和、仙台育英あたりが、この牙城を崩すときがいずれは来るのか来ないのか。

なでしこJapanにも多数のOGを輩出。


松山

大崎地区にある2校のうちのもう1つ。監督はサッカー経験者ではないと思うが、経験のあるスタッフ(男子生徒か)が指導していることがある。

そのため、以前よりは良くなっていると感じるが、指導経験が少ないように見えるし、方向性がずれているようにも見える。

おそらく最も弱いチームの一つに分類されるが、それでも、継続して活動していることは立派だと思う。指導の質を上げることが最重要課題。近くに古川黎明という、いい見本があるのだから、合同練習を申し入れるなどもしてみたらどうかと思う。


技術と指導者と大会方式

技術と指導者の面から

強豪校の場合、当然のように監督がサッカー経験者だし、スタッフも他より充実している。卒業生が教師となって戻ってくれば、それもまたいいコーチとなる。

戦術的な面も、足技的なことも、強豪校ではきちんとしているし、そもそも、入部前に基本技術はできているのが通常だ。だから、あとは、チームとしての闘い方とか、連携面とか、あとは、なかなかゲームに出られない選手の精神面のケアとか、様々な面での課題はあるものの、それはどこにでも必ずあるものだ。

対して、強豪校以外のチームでは、初めてボールを蹴るという選手も多く入ってくる。他のスポーツを経験していたなら、走ったり、跳んだり、打ったりはできても、サッカーはやはり独特なものだから、簡単じゃない。足でボールを扱う以上、自分がボールを保持している間は、片足でボールを触っている状態、すなわち、片足で立っている状態である。手でボールを扱うスポーツとは違って、両足でバランスを取る、というわけには行かない。

さらに走りながらボールを止め、蹴る必要がある。ボールは地面にあるのに、地面を見ていたら周りが見えなくなって、パスコースがわからなくなったり、相手に寄せられて奪われてしまう。

それを、サッカー経験のない監督が教えることになる。

教えようがないのではないか。蹴ることのできない人が、インステップキックをどう教えようというのか。ここに当てるんだよということは技術書に書いてあるから言葉では説明できる。だが、身体的なことは、相当な経験者でも教えるのは難しいのだ。だが、経験者の場合、経験則があるので、こういう練習を繰り返すとこういう感覚がわかってくるよ、ということは言える。だから、結果として伝わりやすい。

繰り返しになるし、該当する方には非礼になるとは思うが、経験の無い人にすべて任せていてはサッカーはうまくならないのだ。

ただ、戦術面では、バスケットボール、ハンドボールは近いものがあって、どこにスペースがあって、どのタイミングで走りこむとか、右へ行く振りをして逆に行くとか、そういったフェイントも似ている。そういった経験があれば、指導者でも選手でも、活かすことができるので、うまく取り込んで欲しいし、逆にサッカーだけでは生まれない部分を融合してもらえればサッカー界としても嬉しいことである。

大会方式の面から

次に、大会の方式だが、現在、すべての大会はトーナメント形式だ。トーナメントは一度敗れれば終わり。それを潔いと思い、美しいと思うのは勝手だが、協会がサッカーを発展させたいと本気で考えるのなら、最もだめな方式に違いない。
※サッカーの発展が何を指すのかは人それぞれ、組織それぞれだが、恐らくサッカー人口が増えることと捉えればだいたい同じところに収斂すると思う。プレーヤーも応援する人たちもハッピーであれば、人口が増えることに繋がるだろうから。その本音がマネーだったり権力だったりであっても、関わる多くの人が楽しめれば、それを実現している金も権力も正当化されるのだ。

話を戻すと、トーナメント方式で、1試合で負けて終わりでは、サッカーなどうまくなる由もない。愉しくもない。しかも、相手によっては、0 - 30で大敗だ。とてもサッカーのスコアではない。高校総体といえば、チームとしての集大成、最後の大会となるチームもある(3年生は総体で引退し、その後の選手権は新チームで挑むところも多い)。それが、たったの1試合で、何もできず、たこ殴りにされて終わりではモチベーションの持ち様も無い。

以前の新人戦では、グループリーグ方式を取っており、それだけでも継続していれば、特に新チームでの熟成を図るために、非常に有意義なものだったのだが、今はそれもトーナメントになった。

会場であった歌津が津波の被害で使えなくなった(グラウンドは高台にあるので問題はないだろうが、鉄道がBRTでの代替運行になったり、宿も減っただろうし、ぼろぼろになった土地でサッカーの大会もないだろうから)のは致し方ないが、サッカーの発展に逆行するものである。

強豪校は、独自の遠征で全国の強豪と戦ったり、めぬまカップなどの協会主催ではない大会の参加もできる。めぬまカップはグループリーグ制だから、試合をこなすのにいい大会だ。数年前からはリーガスチューデントが始まり、大学チームを含めたリーグ戦で経験を積むこともできている。考えようによっては、セカンドチーム強化のために利用することもできよう。

だが、強豪チーム以外では、何ら強化の対策がない。

高校総体で3年が引退するチームを例に取ろう。総体で敗退すると、3ヵ月後に新チームで選手権予選に出る(皇后杯予選もあるが、出場チームが少なく、2014年度では強豪以外の参加は宮城第一のみ)。ついで、2ヵ月近く後に新人戦。その次となると、半年以上経過してからの高校総体となる。1年で本気の試合が3試合だけのチームが普通にあるということになるのだ。

そして、新人戦後の半年以上の間、何をしているのかと心配になる。最後の決戦のためにじっと息を潜めているのであれば、何ら強化につながらない。

なお、サッカー先進県である静岡県の場合、高校総体、選手権、新人戦ともすべてグループリーグ制が取られている。そして、参加チームは宮城よりもやや多い。その上、高校チームとクラブチームが共に参加できるリーグ戦(2部制)も行われている。これには全国でも強豪の藤枝順心、常葉橘は参加していない、というか、さらに上位の東海女子サッカーリーグにいる(※順心のジュニアユースは静岡リーグに参加している)。

改善提案

組合せ

新リーグ戦の創設

大会の前に、まず、リーグ戦です。強豪高はいろいろあるからいいとしても、それ以外の高校チームに必要なのは身の丈に合ったリーグ戦。それ以外にありません。現在、宮城では女子リーグが発足しています。宮城なでしこリーグと言いまして、今はすべてクラブチームが所属しています。いつ発足したんだっけと思って調べてますが、去年ぐらいじゃないかと思ってたら、2009年には存在しています。しかも聖和も出てるし。

2015年の宮城なでしこリーグに強豪以外の高校チームが参加したらどうなんでしょう。クラブチームは中学年代でも普通にうまいですからね。フィジカルでどうにかしようとしても、なかなか難しいでしょうね。皇后杯予選では、普通に高校強豪チームとやりあってますから。勝てないにしても、数失点で抑えてたりします。

となると、やはり、高校リーグを実施するのが最善です。もちろん、強豪校を弾くというわけではないですが、強豪校にしてもそれに出てもいいこともないので、参加するとしてもセカンドチームの経験のために参加と言う程度になると思いますけど、それで充分でしょう。

13チームから5強を除くと8チーム。1回戦総当りで、1チーム7試合できます。協会主催なら公式戦だ。これは大きいでしょう。

地理的に厳しい部分もあるので、仙台地区と、それ以外に分けるのが現実的です。仙台地区は、宮城第一、宮城広瀬、尚絅、聖ウルスラ。それ以外は、仙北地区として、気仙沼西、松山、古川黎明、桜坂に登米も加えて。仙台地区は4つ、仙北地区は5つに分けられる。

それでも公式戦が3~4つ増えるし、2回戦総当りにすれば、倍になります。それができないうちはフットボールネーション静岡サッカー王国にはどうあがいても勝てないでしょう。

今は、常盤木が強いから宮城が多少なりとも目立っているだけなのだから。弱いチームが強くなっていくことこそ、全体の強化になるのです。

公式3大会の開催方式

ここまでの議論から当然なのだが、高校総体、選手権、新人戦でもグループリーグ制をやるべきだ。さらに踏み込めば、上位チームはわざわざゲームをすることもないし、やるとしても、順位を付けるためだけのものになる。

この高校総体で言えば、13チームのうち、強豪の5チームは最初からシードとする。

残り8チームが2グループ4チームずつに分かれて、一回戦総当りで3試合ずつ行う。1位は上位トーナメント進出。2位については、得失点差で決めるか、直接の決定戦が盛り上がると思うけど、そうやって3チームが上位進出になって、そこで初めて上位5強とトーナメントで対戦するということにすればよいではないか。

そこでぼこぼこにされて0 - 40で敗れようとも、それは上位進出した以上、避けて通れない道だということです。勝った者の負けた者に対する責任です。

技術

仕組み的にはこれぐらいなんだけど、やっぱりサッカーの技術は独特なので、きちんとした指導が必要でしょう。

サッカー経験者ではない監督さんには、絶対にサポートが必要なわけですよ。教えられないのですから。そこをまずお互いに(プレー経験のない指導者とサッカーの発展を願う協会側で)認めるべきです。

プレー経験は無くても、飲み屋でぐだぐだしゃべってるオヤジが聞くべき意見を持っている、ということもあるし、どういう闘い方をしたいかは監督さんが決めればいいし、決めてもらえばいい。でも、技術は経験者が教えるべき。止める、蹴る。それを走りながら止めて、蹴る。長く蹴る、強く蹴る。足元に止める、すこし流す。トリッキーなこともやってみる。ある場面を想定して、どうしたらいいかを一緒に考える。

それができない間は、ずーっとこの現状は変わらない。多少、指導者の層が厚くなってきて良くなってるけど、ワールドカップを取った女子よりベスト8すらない男子の指導のほうが魅力的だなんておかしいじゃん。

それと、難しい話だけど、選手が足りないチームには、強豪校の登録されない選手をレンタルする仕組みを作るべきです。これができたら、世界の最先端に躍り出ることになると思うんですけどね。ルールは大切だし、ワールドスタンダードは守るべきものですけど、極東日本の北東の一部地域のことなんだからどうでもいいでしょう。足りなかったらそもそもゲームにならないんだから。

出される(多分1年生でしょう)選手にとっても、いい経験になります。技術はあるけど、相手は上級生だしどう対応するか学ぶことも多い。面白いと思うんですけどね。レンタル先の選手として自分のチームと戦う。やりがいもあるでしょう。ゴールでも決めようものなら、出身チームのベンチ前で、ガッツポーズの一つでもやってみたいところです。

まとめ

何かしら考えていけばいろいろやれそうなことはあると思う、ということですね。

審判の手当てができないなら、ネットで募集するとか。フットサルコートではバイトで審判をする人も多いし、そちらと協力関係を結んで、どうにかしてもいいと思う。

強豪以外のリーグ戦なら筆者でも審判ができる思うし。杓子定規に、何級審判とか要らないと思います。怪我せずにそこそこ満足できるプレーができれば、多少、スローインの判定が逆になろうが、ゴールキックだと思ったらコーナーにされたとか、そこまで問題にならないでしょう。

本当の目的のためには既存のルールをがちがちに守る必要なんて無いです。

我々のフットボーラーたちに栄光のあらんことを

以上

May 27, 2015
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